知と生命(「あたらしいたましい」について-2。)

class-夢。

光景-宇宙。



僕は、何らかの目的でどこかに向かっている宇宙船に乗っています。

地球から遠く離れ、なにもない宇宙空間を進んでいます。

その何もない宇宙空間で、宇宙船にトラブルが発生します。

おそらく、酸素を供給する装置だと思うのですが、それが故障してしまいました。
黒人の技師が急いで修理をしていますが、なかなか直りません。
僕は、「やっとここまで来たのに、もうダメなのか。」と思います。
しかし、地球から遠く離れたこの場所では、地球では考えられないようなナノレベルの効果が働き、酸素が次々と生成される現象が起こります。
わけのわからないままトラブルは回避され僕らは喜んでいたのですが、このナノレベルの効果は続いていき、この宇宙船の水槽に住んでいるイルカたちにも影響を与えます。
この効果により、イルカたちは進化していき、水槽を飛び出し増殖を始めます。
個体数がどんどん増え、足が生え、イルカは人間のような顔つきになります。
進化したイルカは、僕ら宇宙船のクルーの体内に侵入してきて、僕らは進化したイルカと一体になります。

ここで、僕はこの宇宙船の目的に気がつきます。

この宇宙船が目指しているのは地球のようです。

地球から出発して、地球を目指しているのです。

どうやら、この夢の中の地球は滅亡してしまい、生き残った人間はこの宇宙船で脱出したようです。
そして、宇宙の果てを目指すとなんだかよくわからないSF的な効果が働き、過去の地球に戻れるようです。
過去の地球にたどり着き、地球の滅亡を阻止するというのが目的のようです。
そして、トラブルとともに、ついにナノレベルの効果が始まり、思いがけないイルカの進化が始まり、僕らはそれらと一体になり、目指している過去の地球に到着したのです。

過去の地球に到着した僕らは、その地球の調査に乗り出しました。

僕を含めた数名で構成された部隊が地球に降り立ちます。

地球の日本に降り立ちます。

その様子はまったく日常的で、僕らは彼らに溶け込もうと、居酒屋に行きお酒を飲みます。

何もかも問題なくあまりにも平和すぎるので、なにか変だと訝しんでいると、僕らがたどり着いた地球とは、確かに過去の地球ではあるのだけど、もうすでに滅亡は開始されていて、ほとんどの人類が死滅した地球だったのです。
そして、死んだ人間の幽霊が、遠く旅して地球にたどり着いた僕らが絶望しないように、問題のない平和な日常を演じてくれていたわけです。

僕らは、まだ滅亡を食い止められるかもしれないと思い、幽霊たちと別れて滅亡の場所に向かいます。
そして、滅亡の場所で行われていたこととは、“名状しがたきものたち”による侵略です。
異星人なのかどうかはわかりませんが、よくわからないものたちが地球にやってきて、人類はつぎつぎと殺されています。

そして、その場所にたどり着いた僕らが“名状しがたきものたち”に近づくと、僕らの体は変化し始めます。
なぜなら僕らはナノレベルの効果によりイルカと一体になっていたからです。
イルカと一体になった人間が“名状しがたきものたち”に近づくと、変化が始まるらしいです。
その変化は救いのある変化で、人間は“名状しがたきものたち”を取り込めます。
取り込んで、“名状しがたきものたち”による滅亡を防ぐことができます。
しかし、取り込める代わりに、人間としては死を迎えなければなりません。
そして、“名状しがたきものたち”を取り込んで死を迎えた人間は、別のものに生まれ変わります。

人間という種はイルカと一体になり変化をし、さらには“名状しがたきものたち”との出会いにより終焉を迎えます。


僕たち宇宙船のクルーは、結局のところ人類を滅亡から救うという目的は果たせなかったのですが、それは別の種の誕生でもあるし、知を持つ生命としては存続することができるのです。