思考の整理:マインドフルネス瞑想について。

今学んでいることについての思考の整理です。
書き殴っただけだから、推敲はしてないよー。

マインドフルネス瞑想するときって、思考のチェックをして呼吸に戻すでしょ?そのときは、思考の実在にストップをかけて、それは思考作用によって作られたものであることを確認するわけだ。たぶん、ここが難しいところなんだ。「作用によって作られる」ってのは知的には理解できても、瞑想時に体験として理解することはちょっと難しい。だから「心で包み込む」とか「井戸のそこから見上げる感じで」とか、ちょっと抽象的な表現をせざるを得なくなるんだ。ここで現象学的な意識作用についての分析が役に立ちそう。例えば視覚について。“見る”という意識作用を自覚するときには、意志作用を使って、見ているものを一度感覚レベルにまで落としてあげるのね。例えばの僕が“赤い椅子”を見ているとしよう。これを“赤い”とか“ざらざらしている(僕の椅子のクッション部分はざらざらしている)”とか“つるつるしている(プラスチック部分的)”とか、知覚以前の感覚に戻してあげるんだ。でも、僕らには志向性(説明省く)が働いてるから、意志の力で感覚レベルに落としたとしても、その感覚は常に“赤い椅子”という意味(これをノエマという)に収斂してしまうんだ。この“感覚が突破されてノエマに収斂する”という意識の動きが意識作用、つまりノエシスと呼ばれるものなんだね。で、瞑想時に意識作用を使って感覚を把握したとしても、その感覚は常にノエマへと突破されるってことを実感できると、“ああ、僕らの生きている現実は、意識作用の働きによるものなんだなぁ”って実感できるよ。この“諸感覚がノエマへと突破される働き”、つまりノエシス(意識作用)は、視覚だけに留まらず、五感+思考(意)についても言えるんだ。聴覚という意識作用を実感するときには、現象学的な時間概念の分析が役に立つよ。“過去把持ー現印象ー未来予持”のつながりだね。音は実体がないぶん、“今・ここ”から直ぐに過去に過ぎ去って、その過去が現在に保たれて(把持されて)、それが未来に投げかけられるってのがよくわかる。そして、ここにもノエシスは働いていて、感覚レベルの種々の音は、例えば“エアコンの音”だとか、“冷蔵庫の音”だとか、そうしたノエマに収斂している。マインドフルネス瞑想時には、意志作用を使って“今・ここ”の瞬間の音に注意を払うと、それが突破されていく様子を実感できる。そして思考だ。思考も思考作用というノエシスの働きによるものなんだけど、これは感覚が知覚にまとまりという動きとはちょっと違っているね。志向的であることは間違いないんだけど、感覚ではなくて、経験だ。その人の経験が“今・ここ”で回転してい思考に収斂していると表現できそうだね。この“経験”というのは、現象学では“過去地平”って呼ばれるものになるだろう。私たちの現在におとずれる体験は少しの間現在に把持され、時とともに把持された体験は中身が薄くなって、空虚なレリーフとなって過去の中に沈殿していく・・・この空虚なレリーフが際限なく沈んでいく先が、過去の地平(地平って際限ないでしょ?)、つまり、過去地平と呼ばれるんだ。そして、思考というは過去地平に沈んでいる空虚なレリーフたちが生気づいて次々と現在に訪れていることを言うんだね。だから思考は、五感を含んでいるんだよ。その証拠に、例えば“山”って考えると、僕らは大きな山をイメージできるでしょ?それは過去地平に沈んでいる山の意味の枠組みが思考作用によって生気づいて現在に訪れているってことなんだ。ある本の中では「金魚鉢に餌を入れたときに、餌に食いついてくる金魚のイメージ」って書いてあったけど、そんなふうに僕らの現在は(特に思考は)、ノエシスによって作られているんだね。でも、過去地平に沈殿している意味の枠組みが現在に訪れるパターンは人によって違うよね。ある出来事に遭遇しても怒る人もいれば怒らない人もいるわけだから。ここで、ノエシスを動かしている原動力として、評価基準だとかコアビリーフ(信念)とかが出てくるわけだ。こうした原動力は、西田哲学だと“行為的自己”と呼ばれるだろうな。意志を介さずに自動的に動き出す(行為する)基準って感じ。で、この意識以前に動き出す行為的自己については、現象学的には受動的綜合レベルのついての分析が役立ちそう。そして、この自動的に動き出す原理は“対化(カップリング)”って言葉で表現される動きになるだろうな。これは種々の本能的な動きに共通するもので、単純に“充実ー非充実”の連関ってことだ。そして、この先には対象化できないレベルだ。この先になってやっと形而上学っぽくなるんだ。それは、絶対無と呼ばれたり無分節と呼ばれたりするもので、いわば“生命そのもの”のようなものだ。たぶん“勢い”って表現がうまく言い当てれると思う。マインドフルネス瞑想でまず目指すところは、評価基準やコアビリーフのパターンを把握して、自分の現在はそれらに触発されて動き出した、過去地平に沈殿している意味の枠組みによって作られたものだってことを把握するところだろう。そして、行動時に価値崩壊のパターンをとらないように訓練することだ。


以上思考の整理終了!

参考文献:「自己洞察瞑想療法テキスト」「これが現象学だ(谷徹)」「現象学ことはじめ(山口一郎)」「実存と現象学の哲学(山口一郎、放送大学テキスト)」