モノノケノダンス。
一番多いのは“靴下取りモノノケ”です。
このモノノケは、部屋の洗濯物かごの中に住んでいて、靴下を片方だけ持っていっちゃいます。
結構頻繁に出るので、コインランドリーに行くと靴下が両方そろわないなんてことはしょっちゅうあります。
でも、根は良いやつで、靴下をとられると確実に幸福になれます。
その次に多いのは、“床に小銭を置くモノノケ”です。
このモノノケは、部屋の床に小銭を置きます。
その証拠に、部屋を片付けるたびに、小銭が出てきます。
先日は７００円ほど出てきました。
このモノノケノ仕業です。
あと、“意欲減退化モノノケ”もいます。
結構厄介で、洗濯機を回すと出てきます。
洗濯機がぐるぐるぐるぐる回ると、このモノノケもどんどん出てきて、“あーもー洗濯物干すの面倒くせー。”って感じになります。
このモノノケにつられて、“休日の明るい昼下がりなのになんとなく気だるい雰囲気になって眠りに誘うモノノケ”が出てきます。
この二つのモノノケが出てくると、もう恍惚感と多幸感に包まれて、すぐに寝ちゃいます。
意外と社交的なやつで、どんな人のもとにも登場するみたいですが、煙たがられます。
とくに、日中の主婦や泥沼受験生には煙たがられます。
ほかにも、“CDやDVDケース換えモノノケ”がいます。
これは、聞き終わったCDを全然別のアーティストのCDケースに入れたり、DVDを他の映画のケースに入れたりします。
久しぶりにCD聞こうと思っても、一向に目的のCDにたどり着けなかったりします。
“中学校２年生のころの微妙な人間関係を思い出させるモノノケ”は僕の家にしかいません。
中２の頃、とても中のよかった友達がいて、いっしょにお楽しみ会でコントとかやって、みんなを笑わせたりした程仲の良かったやつなんですが、先生から頼まれたプリントを、どっちがコピーしてどっちが配るかで大喧嘩して、それ以降まったく口を聞かなくなったって出来事を思い出させて、げんなりした気分にさせます。
その出来事を知らない友達が、僕とその友達の間に入って、いつものように話をしだすときの気まずさが思い返され、“もうあんなくだらないことで友情を壊すのはやめにしよう”と心に誓いました。
“諦念モノノケ”は強力です。
一見、厄介そうなんですが、味方につけるとものすごい強力です。
このモノノケは世界の持っている予定調和的な意味を解体させます。
社会に出て成功することや、恋愛をして幸福になることや、善意の行為をして充実感を得ることや、お金持ちになることや、もしくは悪意のある行為をして他人に迷惑をかけることなど、そうした“かくあるべき”という価値を次々と解体していきます。
世界に対してのあらゆる出来事に諦めの思いを抱かせます。
このままでは“意欲減退化モノノケ”と変わらないんですが、仲良くなると、“どうせ何をやっても諦めるしかないし、絶望するしかないんだから、いろいろやってみよう！”と、何かをするための強力な動因になります。
このモノノケに対峙するのが“自己強化モノノケ”です。
“自己強化モノノケ”は、“かくあるべき”と命令的な規範文で現れます。
“私は～しなければならない。～でなければならない。”と、自分自身のあるべき姿を確定させます。
そしてこのモノノケは、社会的文化的な価値観ととても仲がよく、ほとんど同化しています。
たとえば、“男性は力強くなくてはならない”とか“自分に負けてはならない”とか“人を愛さなければならない”とか“幸福にならなければならない”とか、さまざまな“ねばならない”を押し付けてきます。
このモノノケは一見味方です。
とても強力で、心強い味方のように見えます。
しかし、規範文に外れた行為を徹底して憎むという特徴を持つので、世界に対するゆらぎがなくなります。
規範文以外の行動はありえない行動として憎まれるので、自分が行動できる可能性が少なくなります。
なので、自分の行動を狭めてしまうような、ちょっと堅苦しさを持ちます。
このモノノケは、意外と“飲酒欲求モノノケ”と仲が良いようで、規範から外れてはその絶望を癒すために“飲酒欲求モノノケ”を誘い出し、飲酒するとまた再び“自己強化モノノケ”を誘い出すという泥沼ループを起こします。
もちろん、それもひとつの生き方だから、誰も否定はできないし、それはそれで良いのですが、ちょっと生き難さを感じてしまいます。
さて、部屋の中にはいろいろなモノノケがいるわけですが、最近モノノケを誘い出す曲が発売されました。
それは、電気グルーヴの「モノノケダンス」です。
アニメ「墓場鬼太郎」のOP曲にもなってます。
が。
実はまだ購入してません。
ので。
明日にでも買ってきます。
が。
アルバム「J-POP」を買うかシングルを買うか、それともレンタルで済ますかとても迷っています。
そろそろ“物欲モノノケ”が出てきそうですｗ
