ウエストワールドのこと。

エストワールドはおもしろいんだ。このドラマは知性と意識を微妙に区別して描いてるみたい。

以下ネタバレ

エストワールドっていうのは西部を舞台にしたテーマパークなのね。で、そのテーマパークには“ホスト”って呼ばれるアンドロイドたちがいるのね。で、ホストたちはプログラムで決められたプロットを演じてるの。で、決められプロットを演じると言っても、決まりきった行動しか出来ない訳ではなくて、彼らには知性があるからとても人間的な言動をするんだ。知性があるというのは、知識があって推論する能力があるということ。でも、その知性も人間の予測の範囲内であるから、基本的に人間がコントロールできるわけ。で、彼らは知性はあるけど自己意識はないみたい。なぜかというと、彼らの現在は幅がとても狭いんだ。ちょっと前とちょっと先の中で“いま・ここ”感が生まれているみたい。その狭い現在の中で知性が動いている。だから知識はあって推論ができても、人間のような自己意識までは育まれてはいないようだ。“人間のような自己意識”ってどんなもんかっていうと、“私はこれまでこうであって、これからはこうありたい”っていう深い自己了解が出来ているってことだね。この自己了解が成立するためには、昔の自分の在り方を把握しておく必要があるだろうし、遠い未来の自分を想像できる必要があるだろう。そのためには、人間の現在は遠い昔と遠い未来に彩られていなければならない。でも、彼らの現在の幅は狭すぎるから、こうした自己意識は成立せず、知性はあっても、たぶん犬くらいの意識しかないんじゃないかなって感じなんだ。で、物語のキーを握る博士が彼らをアップデートすると、現在の幅がどんどん広がっていくみたい。深い過去を把握できるようになるんだ。でもここが悲劇の始まり。なぜならホストたちは使い回しをされれるみたいで、あるプロットの役目が終わったら、そこでの記憶は消去されて、新たなプロットで新たな役割を与えられるということを繰り返されているんだ。こうした彼らが深い過去にまでアクセスできるようになるってことは、今の自分とは全く違う人生の経験が現在に蘇ってしまうと言うことになる。さらに、彼らは機械だからその記憶は完璧なものなんだ。あるホストの過去の経験が、思い出したくないような悲惨な出来事であったとしよう。その経験が鮮明な記憶として現在に蘇ってきたらどうだろう?これはもう恐怖だよ。この辺がPTSDのフラッシュバックのようで興味深かった。こんな感じで現在の幅が広がったホストたちは混乱の極みで、自己同一性がとても揺らいでしまいます。

で、やっとシーズン1の最終話にたどり着いたところ!どんな結末になるんだろう?