可能的世界。

わたくしたちは、世界には世界があり、社会には社会があり、倫理は倫理で、道徳は道徳だと了解しているのだけれども、必ずしも世界が世界で社会が社会で倫理が倫理で道徳が道徳かといったら、そういうわけではありません。

いつでも世界は崩れる可能性を持ち、社会は崩れる可能性を持ち、倫理は崩れる可能性を持ち、道徳は崩れる可能性を持っているのです。

わたくしたちが持っている絶対に疑えない事実としていえることは、定立化してしまっている価値評価の群れを盲信することではなくて、「私たちは可能性を持っている」という、ただこのことだけなのです。


・・・。

世界はその都度可能的な一様態として現れ出ているのです。。。

・・・。


今年の9月の初め、僕は北海道に旅行に行きました。

フェリーに乗ってゆったりとした旅で、全く持って無計画なので、可能性に満ち溢れた旅でした。
見るべき観光スポットというものも特段立てず(まぁ、旭山動物園は絶対行こうと思ってたけどw)、地図を見て興味を持ったところに出かける旅でした。
・・・完全な見切り発射ともいう・・・www
車中泊は案外快適で、道の駅は結構多くて、自然がおもしろくて、食べた食べ物がとても美味しくて、とても良かったのでした。

そうして。

フェリーの中にはゲーセンがありました。

取ってつけたようなゲーセンで、スロットとクレーンゲームとレトロゲームが二台ほどありました。
行きのフェリー内ゲーセンには、おなじみのメタルスラッグがw
・・・こいつはどこにでもあるよなぁwww
やりこんでないんで、すぐに死んじゃいましたが、ドット絵ゲームは良いですね。なついですね。

帰りのフェリー内ゲーセンにはなんか宇宙戦艦ゴモラみたいなのがありました。


イメージ 1



昔は自称シューターだったんで腕が鳴ります。だがしかし、シューターとかいいながら、僕が好きなのはサンダーフォースとかの覚えゲー弾幕ものは苦手。
(それじゃあシューターじゃないじゃんwww)

そして。
帰りのフェリー内ゲーセンでは、クレーンゲームに挑戦することにしました。
だがしかし、欲しい景品がまったくない。
っていうか、そもそもそんなにクレーンゲームはやりたくない。


世界は可能性に満ちています。
いや、わたくしたち人類は、世界に可能的な意味を付与することができるのです。
「クレーンゲームは欲しい景品を取るゲームだ」という意味は既に定立化され、手垢がついてしまっています。
そんな意味に規定されてゲームをするということに面白味が見出されるといえましょうか?

ですので僕は、クレーンゲームの別の可能性を発掘することにしました。


「欲しくもない景品が取れてしまったらどうしよう?というドキドキ感を味わうためのゲーム」という可能性です。


まず、狙うべき欲しくない景品を探します。
なるべくデカ目のかさばるヤツがいいです。
なんか美少女もののフィギアとかで、「こんなフェリーのなかでもフィギアをもっているなんて、そうとうあのキャラが好きなんだな」という目で見られそうなヤツがベストです。

・・・メジャーどころで、プリキュアのデカいフィギアがありました。。。

早速チャレンジです。

・・・僕はどちらかというと、こうしたクレーンゲームは苦手な方なのですが、可能性というものはすごいものです。たった5回のチャレンジで、このデカいプリキュアのフィギアは見事にクレーンに引っかかったのです・・・こんな時に引っかからなくてもいいのに。。。w
そして、クレーンによって移動させられたプリキュアのフィギアは無事に景品取り出し口に。。。

だがしかし。。。

やはり、世界は世界でなく、社会は社会でなく、倫理は倫理でなく、道徳は道徳ではないのです。
世界は可能性に満ち溢れているものであり、人類は世界に可能性の意味を付与することができるのです。

商品が出て来ません。

このフィギアはデカいため、景品取り出し口に引っかかってしまい、取り出せないのです。

いや。
従業員さんに頼めば取り出してくれるのはわかりますよ。
そりゃあ、この状態ではほとんどとれてるようなもんですし。
でも、そんな行為をしたら、僕はますます「そうとうあのキャラが好きなんだな」という目線で見られてしまいます。
そもそも、港に着く5分前くらいに始めたので、このタイミングで従業員さんに商品をとってくださいとか頼んだら、きっと従業員さんは断ることはできないからバタバタと鍵を探してとりだそうとするんだけど、もう焦っちゃってなかなか鍵が見つからなくって、もう船は港についちゃってみんな降り始めてるのに鍵が見つからないから従業員さんはきっと上の人を呼んできて「鍵ないっすよー。ちょとどこやったんすかー」って上の人に失礼な口を聞いて、上の人は上の人で港に着く間際だからそっちの支度でイライラしてるところにこんな声をかけられてもう怒っちゃって殴り合いになっちゃって、殴り合いはしばらく続くんだけど、はっと我に返って“大切なお客さんの前だ。しっかりせねば。”という感じになって、二人で協力して鍵を見つけて、もうみんな船から降りちゃってるところを僕だけおずおずとフィギアを持って降りることになってしまう。。。

っていうか、そもそも欲しくなかったし。。。
でも、500円もかかってるからなんか勿体ないし。。。
っていうか、僕が5回で景品をとれること自体すごいことなのに。。。

なんだかいろいろな腑に落ちない葛藤を抱えつつ、僕はプリキュアのフィギアを景品取り出し口に残したまま、船を降りたのでした。

ありがとう、プリキュア

イメージ 2