T町の古い風習。

暑いと犬が白目をむいて倒れるのです。

白目をむいて倒れた犬を助ける者がいなければ、その犬は死ぬのです。
白目をむいて倒れて死んだ犬をほおっておくと、その犬は変なにおいをするようになり、そうして腐ります。
そうして、その“腐っている”という状態は、目に見えない菌の侵食を受けている状態であり、その状態は菌の食料になっているという状態であり、菌は食料を食べて生き延びることができるのです。



だから。

もし人間に善意が残っているのなら。

道端で白目をむいて倒れている犬を見かけても。

手を出してはならない。

手を出すのなら、菌の生存の可能性を奪ってしまうからだ。

ですから、僕たち人間にできることといえば、白目をむいて倒れた犬が他のの生き物の食料になってしまわぬように、じっと見守ることだけなのです。





class-夢。

光景-実家。



夢の中の架空の実家の話です。

僕は学生であるかも知れず、それとも帰省しているのかも知れず、とにかく僕は実家に戻っていて、何かの授業に出席するために、決められた時間までに決められた場所にいかなくてはなりません。

・・・走っていかなくてはなりません・・・。

実家の町中を走るのですが、回りの景色が懐かしいということは、やはり僕は社会人かなにかで、帰省しているのだろうな。

家を出て、僕の住んでいる地区を離れて、小学校の辺に行きます。
チョコアイスの自販機が置いてあったので、僕はチョコアイスを食べました。
何種類かのチョコアイスを選べるようになっていたみたいだけど、僕はどれにするか迷ってしまい、選択時間が切れてしまい、チョコアイスが一つ出てきました。

アイスはチョコでありアイスなのであまい。

小学校を少し過ぎると、T町という地区に入ります。

夢の中のこの地区は少し変わっています。

T町の住人は、別の地区の住人に奉仕する役割を与えられているのです。

この“別の地区”の名前は夢の中には出てこなかったけど、その地区のことを仮にK町としてみます。
T町の住人たちは、とても頭の良い人たちが多く、社会に出て成功している人がたくさんいます。
いろいろ事業をしたり技術者になったり発明をしたり、有名な人物も世に送り出しているような住人が住んでいるのですが、実は彼らは、自分のためでなく、K町の住人に奉仕するために、そうした勉強をしているのです。

僕はその町に入り、「この町にくるのも久しぶりだなぁ。そういえば、この町の人たちはK町の住人に尽くさなければならないのだなぁ。今でもその風習はあるのだろうな。おかしなものだ。」と思いました。
不思議と、T町とK町の従属関係そのものには違和感は覚えず、「昔からある変わった風習に過ぎず、それはそうしたものなんだ」くらいにしか捉えていません。


その町を走っていると、住人を見かけました。
T町の住人は穏やかで善人。
嫌なことや文句は言わず、勤勉でよく働きます。




善人であるということは、道端で白目をむいた犬を見かけても、手助けはしないのだろうな。
やさしく、菌の食料になるように見守るのだろうな。