過去はどのようにして勝ち取られたのか?2。

ああ。。。


まただ。。。


はぁ。。。


どういうことだ。。。


ああ。。。


また確認だ。。。


また確認するんだ。。。


なんで、毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回確認するんだ。。。


毎回毎回同じ確認をするなんて、ちょっと強迫的な行為じゃないのか?


はぁ。


それとも、僕は個別化された生命として理解されてないのか?

僕は個性と人格を兼ね備えた一介の人間として理解されていないのか?

特殊的な生として理解されていないということは、類型的に理解されているということなのか?
僕たちはゴキブリを見たときに、一つ一つのゴキブリに個性を感じず、どのゴキブリを見ても類的なゴキブリとして容赦なく殺すけれども、僕もひとつの個性としてみなされず、類的な人間として取り扱われてしまったのか?
僕は道端で黄昏ているゴキブリと同じなのか?
もちろん、僕はそんなに尊大な人間じゃないし、ちっぽけな人物に過ぎません。
もし、僕の生命が終わりを告げたなら、僕は人間の類型の中に埋もれていくでしょう。
だがしかし、僕の人生は僕のものだし、僕が勝ち取ってきた僕の過去の履歴は、紛れもなく僕の物語のはずだ!
だがらこそ、僕は類的なゴキブリと同類なはずはなく、僕は個別化された生命のはずなんだ!


だがしかし。。。

まただ。。。

また確認だ。。。




僕のアパートの近くにコンビニがあるんです。

そこの店員は、毎回毎回「ポイントカードはお持ちですか?」って聞いてくるんです。
僕はそのつど、「いいえ」と答えるんです。
毎回毎回聞かれるものだから、最近は言葉を発するのもうざくなり、首を横にふるだけで澄ませているのです。

・・・たまに行くコンビニなら、ポイントカードを持ってるかどうかの有無を聞かれても自然な流れだと思うんです・・・。
だって相手とは初対面だし、相手は僕がカードを持っているかどうか知らないのだから、聞かれても仕方がない。
だがしかし、僕はこのコンビニに毎回毎回似たような時間帯に訪れるし、大抵同じ店員に対応してもらってるんです。
時間帯としては深夜1時頃で、そんなに混んでいるわけでもないです。
毎日、大抵同じ人に対応してもらっているのに、そのつど「ポイントカードはお持ちですか?」って聞かれてしまう。。。

・・・昨日、持ってないって答えたのに・・・。
昨日教えたじゃん!
昨日、僕はポイントカードを持っていないことをキミに伝えたじゃん!




でもそれは、仕方がないことなんです。。。
なぜなら、僕は一人の人格を持った人間として取り扱われているわけではないからです。
僕は、類的な人間として取り扱われているのだからです。
たぶん店員のほうも、「人間を見たらポイントカードの有無を確認しろ!」と教育されているのでしょう。
ゴキブリを見たら類的なゴキブリと認識して自動的に殺してしまう感覚に似ているように思えます。

さっきそのコンビニに行ってきたんですが、また同じ店員にカードの有無を確認された。。。

はぁ。

また確認だ。。。


でも、きっと大丈夫だ。

いや、大丈夫じゃなきゃダメだ。

ゴキブリは過去の地平を持つことができないけど、僕は僕の過去の地平を持つことができる!
それは僕だけのもので、けっして類的なものじゃないんだ。

店員の機械的な視線に屈服してたまるか。