走フォークリフトの運転手性。

約74%のF1運転手にとって、フォークリフトの運転手とは、憧れの職業である。


彼らには、昆虫が光へと向かって突き進む走光性があるように、走フォークリフトの運転手性というものがあるのだ。
そうして、チームの仲間に、“俺、フォークリフトの運転手になりたいよ・・・。”ともらすたびに、チーム総司令から、“そんなことをいってはいけない! そんなことをいってはいけない!”という言葉を浴びせられ、口の中を切って血が出るまで手で叩かれるのだ。

・・・毎年9月の終わり、残暑の厳しいドイツのゲッティンゲン地方では、チーム総司令自ら馬を駆って、フォークリフトに興味のある子供をさらう“子供狩り”という狩が行なわれている。

“ひょういひょうい動くな! ひょういひょうい動くな!”

この掛け声と共に、総司令はフォークリフトを好きそうな子供を見つけると、その子の胸をめがけて容赦なく弓を引くのだ。
たいていの子供はこの弓に胸を貫かれて死ぬという。
だが、数十人に一人の割合で、土地のオド(気)に敏感な子供がいる。
そうした子供はオドの流れに従い、はるか幽界の下にある、形相界に潜り込むことができるのだ。
形相界には人々の理念化が作り出したプシケーがおり、その中のひとつである“フォーク様”に接触できた子供は生き延びることができる。

・・・“フォーク様”とは、数千年の昔の開拓時代、山の木を切る人たちの、“大きな力強い機械があったのならば、もう少し速く仕事をすることができたのに・・・”という、思いが創り上げた、精霊のプシケーである。


ここからが、チーム総司令の力の見せ所である。
“フォーク様”と接触できた子供は、もう、子供というよりフォークリフトそのものである。

もはや彼に理性というものはない。

ところかまわず、右から左へと、物を運んでしまうのである。
東側の倉庫に積んである材料を北の倉庫へ、下の倉庫にしまってある材料を左前方の倉庫へ・・・。
正確にすばやく物を運びだすのだ。
せっかく“フォーク様”にフォーク接触できたフォーク子供も、このままでは死んでしまう。
そこで、チーム総司令は、“やめたほうがいいですよ! やめたほうがいいですよ! やめたほうがいいですよ!”と、力の限り大きな声でしゃべるのだ。
家のネコに語りかける人のようにしゃべりかけるのだ。
そうすると、フォーク子供は物を運ぶのをやめて、正気に戻る。
おとなしくなったところを、総司令の隣でじっとしている手下のメカニックマンに“さて この子供をつかまえろ!”という合図をおくってつかまえます。
そうして、F1訓練を受けてF1デビューをしました。
うれしい。

実際に現役のF1運転手にフォークリフトを見せると、びっくりして死んでしまいます。

F1運転手に話しかけるときには、家のネコに語りかけるようにしゃべりかけるチーム総司令の“やめてくださいよ! やめてくださいよ! やめてくださいよ!”という言葉のように話しだすメカニックマンのしゃべり方を参考にしながら、勝手に話しかけてください。