精肉店。

class-夢。

光景-商店街。




仕事帰りなのか学校帰りなのかわかりませんが、僕は食事をしたくなった。

そこは通いなれた町で、町の構造もよく把握しいます。
区画整理された碁盤目状に通りがあって、メインの通りにはお店がならんでいます。

もちろん、その町は夢の中の町なので、架空の町です。
ですが、その町は通いなれた町なので、僕は街の構造をよく把握しているのです。

僕は食事をしようと、メイン通りのはずれにある料理屋を目指します。
行きつけの店というわけではないのですが、何回か入ったことがあり、そこで食べることにしたのです。
だがしかし、その料理屋は料理屋というか、なんか別のお店になっていました。
食べ物を出してくれるようでもあり、雑貨を販売しているようであり。。。


僕は。
ふと。
この町の裏通りに興味がわきます。

この町の裏通りは特徴的な裏通りで、精肉店が密集しています。
精肉店というか、動物を解体する場所がいくつもいくつもあって、その解体場所で動物はバラされて、その肉がメイン通りにあるお店に回されるのです。
だから、メイン通りの食堂は新鮮な肉を利用でき、にぎわっているのです。

いい肉はメイン通りのお店に回されて、内臓系の肉は裏通りの飲み屋で使われます。
なので、酒飲みとか、この町のことを知っている人間は、メイン通りの店を利用するのではなく、裏路地の、ちょっと入ったところの店で食事をしたり、酒を飲んだりするのです。

僕はその裏通りにはあまり入ったことがなかったので、ちょっと入ってみようかと思います。
裏通りは屋根のあるアーケードで、入ってすぐのところには立ち飲み屋や居酒屋が沢山あります。
どんどん進んでいくと、飲み屋の雰囲気も変わってきて、雑然として不衛生な、飯場の炊き出しのような、もはや店構えもないようなところで、人々は内臓を喰らってお酒を飲んでいます。

日光が届かなくなって、暗いトンネルのような場所になっています。
内臓につけるタレの甘ったるい匂いが鼻について気持ち悪い。

さらに進むと、動物を解体する場所にたどりつきます。
そこには思ったほど人がおらず、数人の職人さんたちが、ただ黙々と動物を解体しています。

動物の返り血を浴びて不衛生な作業着を着た職人がふらふらと道を歩いている。
トンネルというか、広い下水道の中を歩いている感じです。

僕は気味が悪くなってきたんですが、スーツをきたサラリーマンらしき人が歩いているところをみると、普通の人が入ってきても問題はないらしい。

しばらく歩くと、職人さんが僕に話しかけてきます。
その職人さんは、労働条件が悪いことや、労働契約にあった賞与が払われないこと、作業環境などに不満があるようで、そうした文句を僕に向かって独語のように訴え続けます。
だんだん職人さんのテンションがあがってきて、僕は怖くなってメイン通りに戻ろうと逃げ出します。
その職人さんは僕の後ろをずっとついてくる。
よく考えれば、さっきのスーツ姿の人だって、本当にサラリーマンかどうか怪しいものだ。
ずっとあの裏路地でお酒を飲んでいる人かもしれないし。