観念島。

class-夢。

光景-島。


屋久島の夢です。
だがしかし、僕は屋久島にいったことがありません。
だがしかし、今日の夢の中では、僕は屋久島に行くことになりました。

だがしかし、それは屋久島ではないのかもしれません。
現実にある屋久島と区別するために、僕はこの夢の屋久島のことを、仮に「島」と名付けます。

この島は本島から南下にあり、船を使い向かいます。

僕は船を使って島に着いたのです。
船のついた船着場には、観光地らしく、観光地的なはっぴをきた人物が数名迎えてくれます。

この島はとても小さな島で、夜になると海に沈んでしまいます。
日中は本島につながっている道路があり、そこを車や自転車で行き来することもできるのですが、夜はこの道も沈んでしまいます。

僕がこの島についたのは、夕方でした。
既に島の周辺は海に浸かりつつあり、島民はこの道路を使って、本島に引き上げていきます。

この島の中央には大きな木があり、それが観光名所なのですが、島が沈む前に見れるかどうか不安です。
そんなに大きくない島だけど、この木まで辿り着くのはけっこう骨が折れるようです。
なんで小さい島なのになかなか辿り着けないのか考えてみたんだけど、きっと急勾配であったり道が途切れていたりとか、難関があるのだろうな。

観光がかりの人物に場所を聞き確かめます。
まわりを見ると、観光客のカップルがいます。
僕は彼らと一緒に、島の中心にある木を目指すことにします。

中心を目指して歩き出すと、すぐ森になります。
そして、何かを祭るような神聖な旗とか祠とか、いろんなものが見えます。
神社とか仏閣とは違う、もっと古い、アニミズム的な意匠です。
森の静かな感じと、「はやく見てまわらないと島が沈んでしまう」という焦燥感と、神聖なものを見ている厳かな感じで、なんともいえない気分になります。

しばらく行くと、トンネルがあります。
なかに入ると、意外に整備されています。
“意外に”というか、けっこう整備されています。
横になって休める休憩所のようになっていて、従業員さんも制服を着て営業的な媚びた笑顔を見せたりして、ものすごく観光地的です。
マッサージを受ける場所もあって、ぐったりしている人もいたりします。
従業員さんたちは机を拭いたりしているんで、きっともうすぐ閉店になるんだと思います。
それはそうだ。
なぜならば、数時間後にはこの島は海に沈んでしまうのだから、もう後片付けをしないとならないのだろうな。

それにしても緊張感や厳かな感じはなくなってしまいました。

それでもしばらく進んでいったんですが、ゆっくり見れずにバタバタするのは嫌だし、取り残されて海に沈んでしまうのもなんだか嫌だから、中央の木に辿り着く前に引き返してきました。