narratron-鉄。

今日、僕は「鉄男 THE BULLET MAN」を見てきました。
塚本晋也監督の映画です。
そして、その感想を自分の言葉を使って表現することが礼儀作法だと思うので、僕はその感想をまとめます。

で。

「鉄男」おもしろかった!!
「鉄男」おもしろかった!!
「鉄男」おもしろかった!!

5月末から公開されていて、すぐにでも見に行こうと思ってたんですが、なかなか機会がなくって見に行けず、いつまで公開してんのかな~って思って調べてみたら、渋谷シネマライズは6月20日までみたいです。

・・・渋谷で見るには今日しかない・・・。

そうしたわけで、僕は今日見に行くことにしたのです。^^

鉄男は僕にとって特別な映画で、特別な映画は自分だけのものにしておくか、もしくは誰かと共有したいものです。

で。
僕は今日、誰かと共有したい気分だったので、友人を誘いました。
3人誘いました。

だ。
が。
しかし。。。

ことごとく断られるwww

まぁ。
ね。
急だしね。
しかたがないよね。
それぞれがそれぞれ社会生活を送っているわけだしね。
タイミングが合わないのは仕方がない。

4人目は大学からの腐れ縁の男性だったんですけど、そいつには無視されましたw
5人目は北海道の友人なんですが、15分で渋谷に来るのは無理だし。。。

だがしかしきっとそれは、“まずは他者と共有するのではなく、自分だけのものにしておきましょう”ってことなんです。
そんなふうに合理化して、僕は渋谷サンライズに行ったのです。




・・・。




「鉄男」の第1作目を見たのは大学生の頃でした。

その時の僕は、SFになりたかったんです。

SFになるためには、脳と機械を接続する必要があります。
そして、脳と機械を接続する方法には2種類あって、一つ目の方法は、理系的な方法です
理系的な方法とは、科学的な世界像に強くなって、客観的に脳と機械を接続するやり方です。
もう一つの方法は、文系的な方法です。
こっちは言葉や雰囲気を使って、脳と機械を接続します。
・・・夢野久作ラヴクラフトが得意な方法です^^

そして、僕は文系なので、理系的な接続方法は使えません。
SFになるためには、文系的な接続方法を習得する必要があったのです。

そうしたわけで、大学生の頃の僕はテクノミュージックにあこがれて、SF小説にあこがれて、空想で現実をねじ伏せるような自己表現をなんとかしたかったんです。

で。
文系的な接続方法を使ってSFになるために、僕はテクノな音楽をたくさん聴いて、SF小説をたくさん読んで、SF映画をたくさん見ることにしました。

で。
たぶん。
どこかの雑誌で、「鉄男」という映画がとてもSFでサイバーパンクでエッジが立っていることを知ったんです。
近所のレンタルビデオ屋でビデオを借りてきて、早速見ました。
自分にとっては衝撃的で、忘れられない大切な映画となりました。
なんつーのか、キューブリックの「2001」とかタルコフスキーの「ストーカー」とかと同じような感じで、生きていて一息つくときには必ず見る映画です。


・・・「鉄男」は、89年に公開された1作目に続いて「鉄男Ⅱ」が92年に公開されています。
基本的なプロットは共通していて、それは、「平凡な男の肉体が徐々に鉄と化してしまう」というものです。。。


僕にとって「鉄男」が大切な映画であることには理由があります。
それは、この鉄と化してしまう男の苦悩が、他人事ではないと思えるからです。
なぜ、他人事ではないと思えるかというと、“皮膚”に関係あります。

・・・“皮膚”なんです。。。

僕の“皮膚”は僕の手を離れている。
僕の“皮膚”は僕の思いを乗り越えて、勝手に変化し続けている。

と。
いうのも。

小学校の頃の僕は、アトピーが酷かったんです。
体中がかゆいし血だらけだし、薬を飲んでも塗っても、体質改善の注射を打っても全然治りません。
医者からは汗をかいたり日に当たってはいけないといわれるけど、体育の授業はあるし、太陽は昇るし、そんな生活はできないですし。。。

何より辛かったのは、顔です。
顔の、特に目の周りの皮膚は最悪でした。
ぼろぼろぼろぼろと、剥げ落ちてくるのです。
乾いてひび割れた地面のように、剥げ落ちてくるのです。

・・・印象的なのは、親戚が僕の家に遊びにきたときのことです。。。
僕はキッチリと睡眠をとってスッキリと目が醒めて、自分の家族や親戚のおじさんおばさんに、朝の挨拶をしたのです。
僕はさわやかな気分なんだけど、親戚のおじさんやおばさんは奇妙な表情をしています。
顔を洗おうと洗面台に行くと、顔の皮膚がいつもよりも酷いことになっていました。
ぼろぼろ感がいつもの7倍だw
すぐさま顔を洗ってぼろぼろになった皮膚を洗い落としたんだけど、あの親戚の気を使った奇妙な笑顔は忘れられません。

その後も、僕の“皮膚”は僕の思いを離れて、いつもぼろぼろでした。

ストレスが溜まると“皮膚ループ”に陥るときがあります。
ストレスが溜まって体がかゆくなって、かゆくなるとかいてしまい血まみれになって、そうなるとまたストレスが溜まってまたかゆくなって。。。

そして、皮膚は黒く硬くなるの。
医者に相談しても、「それは仕方のないことなんだよ」位のことしか言わないしw
大学生のころはよく太ももの皮膚をカッターでそぎ落としたものだw
そんなんしても、ますます“皮膚ループ”は酷くなるだけなんだけどねwww



で。



この感覚なんです。
この、「自分の思いを乗り越えて勝手に身体が酷くなってしまう」という感覚が、「鉄男」を見たときに、僕の中で共感を呼び起こしたんです。
あの「見ないでくれ!」っていうような感じ。
今回の「鉄男 THE BULLET MAN」の中でも、主役は大切な人に醜くなった姿を見せまいと、「見ないでくれ!」って表情を見せるんだけど、あの感じ。
「鉄男」の場合は、体が鉄になって兵器のようになってしまうんだけど、僕の皮膚はさすがに兵器にはならなかったwww


そんなんもいろいろあって、「鉄男」を見ていると、主役の醜くなる平凡な男を愛でたくなるんです。


で。


いやあ。
今回の「鉄男 THE BULLET MAN」もすごかった!!
面白かったな。
爆音が身体に響いて気持ちよかった^^

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20日までにもう一回くらい見たいけどなー。
行けるかなー。
行けたらいいなー。