夕暮れの孤高。

class-夢。

光景-取り壊された実家。




取り壊された実家と僕の今の職場とが融合しています。

この夢と僕の現実も融合しています。

そして、彼のことは、仮に“夕暮れの孤高”と呼んでみます。




彼は、微笑ましい人です。
もの覚えがとても悪く、いくら仕事を教え込んでもまったく覚えてくれません。
しかしそれは、なにか悪意があるとかやる気が無いから覚えないというわけではなく、彼の能力はもともと制限されているからのようです。
それは悲しいことかもしれませんが、彼には雰囲気に接近する能力があります。
僕たち哀れな正常な人は、なかなか雰囲気に接近できません。
たとえ雰囲気を感じ取れたとしても、社会的な形式性のようなものが、その雰囲気に接近することを阻みます。
日常は、形式的なやり取りと雰囲気が癒合している中で成立している、と表現できるかもしれません。
しかし、“夕暮れの孤高”は雰囲気に接近することが得意です。
周囲の人の雰囲気をすぐに察知するので、人が嫌な気分にならないように努力します。
しかし、彼の日常性をドライブする能力は制限されています。
だから、努力をすればするほど空回りをしてしまい、周りの人からは迷惑がられてよく怒られます。
そして、彼は物覚えが悪いので、怒られたこともすぐに忘れてしまい、また雰囲気の中の戻って行きます。

“夕暮れの孤高”はクラスみんなで暖かく見守っていかなければならない子です。

その日、彼の両親から電話がありました。
その内容は、彼はどうやら調子を崩したので病院へ入院するように促してほしい、というものです。
僕は“どうしたものか?”と思っていると、“夕暮れの孤高”が出勤してきました。
彼の様子は明らかにいつもと違います。
いつも以上にテンションが高く、高揚した様子です。
そして、その行動や言動にもまとまりがなく、受け答えもちぐはぐです。

僕は、彼の両親からの電話を受けたこともあり、彼のことをどうにかしないとならないと思っているのですが、周りの仕事の同僚たちはまったく協力的ではありません。
彼の異変にまるで気づかないようです。
僕は、同僚たちの無関心ぶりに腹が立ち、現実世界では声を荒げるタイプではないのですが、このときばかりは大声を出して、みんなに文句を言いました。。。

そこで目が醒めます。