パスワードの弱いパスワード。

class-夢。

光景-1:“公園”。



友人が、エレクトーンのコンサートをすることになった。

場所は公園です。
(多分、上野公園だと思います。)

公園の中にある大きな広場の真ん中に、屋台のような小さなセットを組んで、その中で演奏を始めます。



現実の彼は、自己表現をするのが下手です。
客観的な価値観や情報を操ったり、評価したり、それを利用して判断を下すことはできるけど、自分から世界に意味を与えて、自分を表現していくことが苦手です。



夢の中でもやっぱりそんな感じで、たどたどしいもぞもぞとした口調で自己紹介を始めます。
そして演奏を始めるんですが、これも正直下手です。
なんだか、ミスタッチばっかり多くて、エレクトーンを恐る恐る操作しているという感じです。

たまたまこの公園に、有名人の批評家が来ていたようで、彼からもダメだしをされます。

「全然成立していない。やめちまえ。ふざけるな。」

それを聞いた彼は、なんとかその場をとりつくろうと、引き攣った笑顔でやり取りをしていました。
客から野次られもしたんですが、やはり笑顔のまま冗談で交わし、ジャケットを脱いでやる気を見せます。

周りの挑発にのっかる格好になったので、批評家も喜んでこの光景を見ています。

次の曲は、すこしコミカルな曲です。

彼は、客に売られたケンカを面白い形で買い取ったようで、自ら道化的な曲を演奏することで、客を巻き込もうという戦略のようです。
しかも小憎らしいことに、コミカルな曲にテクニカルな演奏技法も挟んできます。
なんだか、客の間には笑顔も見られ、いい感じです。

次の曲には、変わった趣向が取り入れられています。

演奏装置がエレクトーンではなく、オリジナルの楽器になっているんです。
その楽器は鍵盤楽器なんですが、キーボードの部分が空のビデオケースになっています。
空のビデオケースを押すと、音が出る仕組みになっているようです。
そのか空のビデオケースをよく見ると、彼の好きな映画ばかりです。
中にはそうとうマニアックなものもあって、映画「2300年未来への旅(原題:ローガンズ・ラン)」のケースもありました。

おかしな楽器を演奏し始めたので、彼の周りにはこの楽器に興味をもった子供が集まりだします。
いろんな国の子供がいます。
彼は、その子供達と一緒に、オリジナルの楽器を演奏します。

この頃になると、公園も満員です。
彼は客にお菓子を振る舞い、自分もお菓子を食べながら、リラックスして演奏しています。
若い女性客もいて、にこにこ顔でかれの演奏をみています。

そして、次の曲です。

ここでまた、彼は趣向を変えます。
次に演奏する曲は前衛的な曲で、いつもはパートナーである赤い服の女性と演奏するそうです。
しかし、今日は赤い服の女性はいません。
都合がつかず来れなかったみたいで、急遽代役のTシャツ姿の中年男性と演奏を始めます。

代役は彼の隣に座り、“ゴー”っという地響きのような効果音を奏でます。
その効果音に彼の演奏が重なります。
その曲にメロディーはありません。
彼の出す音もノイズや環境音ばかりです。
彼は苦悩に満ちた表情で、体全体で表現をしています。

いつのまにか、小さな屋台のセットは、小さな神社のようなセットに変わっています。
僕は彼の友人なんで、こっそりセットの裏に回って彼の演奏を見ていたんですが、ここで、この曲のタイトルはサルトルにまつわるものだということがわかります。




光景-2:“講堂”。

彼の演奏の舞台は、いつの間にか大きな講堂に移っています。
中にいる客は、各国の小学生たちで、国ごとに制服を着て着席しています。

彼が演奏をしていると、突然、ある国の小学生たちが踊りだします。
どうやら、友人はそれぞれの国にちなんだ曲を演奏しているようです。

次々とメドレーで曲を変えて、その国の曲になるとその国の小学生たちが踊りだすという賑やかな状態になっています。
ちょっとしたパーティーのような感じです。
友人は相変わらず小さな声ですが、この頃になると客いじりも上手くなり、演奏しながら客に話しかけたりして、会場を盛り上げます。

楽しくていい感じの雰囲気です。

ここで、このコンサートがTV中継されていることを知ります。

コンサートのタイトルは「パスワードの弱いパスワード。」となっています。

彼特有のユーモアが炸裂しているタイトルで、うれしい気分になりました。




以上が熱発する直前に見た夢です。

とりあえず、解釈はしません。