無限日和。

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頭上の予兆に誘われて、僕の履歴の遙か下方では、意味の群と戯れる小さな女の子が、秘密理にざわめいていました。

その影響か、久しぶりに小さな猫の夢を見ました。

小さな頭と大きな胴体の、少しアンバランスでグロテスクな猫が僕の腕に絡みつき眠っています。
鋭い爪を引っ込めている姿をみると、どうやら落ち着いているようです。
いくつか場面は変わるんですが、常に猫は傍らにいて、なついています。

・・・健気に僕に着いてくる様は、まるでグラディウスのオプションのようでもあり、親しみをもてます。



さて、今の僕にとって昨日見た夢は、なんだか暖かみがあって、味わい深いものでした。
ここで、二つの分岐が僕を待ちかまえています。

一つ目は、この夢を文化的な類型的繋がりの中で捉えて、心理学的な分析をする道。
もう一つは、この夢を自分の物語の中での出来事と捉えて、意味の繋がりを追っていく道。

・・・分析的な道は、特殊的なその人の在り方に土足で突っ込んでいくような感じがして、あんまし粋じゃないんじゃないかと思えます。
無粋な道には触れないようにそっとしておいて、僕はこの夢をいったん日常の中に泳がせてみて、日常生活の中で絵解きができればいいなぁと思いました。



さて、日常の中では台風も過ぎ、次の季節は秋です。

頭を垂れる稲穂をみていると、思い出されるのは田舎の光景です。
僕の田舎はとっても田舎なんで、人があんまりいませんw
町おこしのためか、最近は観光客が増えて、人口は増えないけど人は見かけるんですが、小さい頃なんて道を歩いていてもなかなか人とすれ違わず、学校に登校するときも誰とも会わずにたどり着けてしまうほどでしたw

アウトドアな男の子にとってはこうした環境は楽しめるのでしょうが、僕はこうした環境にも関わらず、インドア貧弱アトピー少年だったんで、うれしくありませんw
部屋でテレビゲームをやって観念の群に潜っていた方が楽しいし、自然を上手にドライブできない僕は、常に異邦人のような感覚でいました。
でもその感覚は嘆くべきものではありません。
異邦人的である僕にとって、自然には観光てきな驚きがありました。
自然と一体になるほど仲良くはなれないけれど、すこし距離を置いて、その驚異に驚くことは出来ます。

夏休みの楽しみは、自分の部屋から外を眺めることです。
僕の家の裏は一面田んぼになっており、結構綺麗です。
一面が緑です。
しかも、ほとんど人がいませんw
風が吹くと一面の緑がぞわぞわと揺れて、波のようで結構綺麗なものです。
アン・シャーリーの言葉じゃないけど、田んぼには想像する余地が残されています。
中学の頃は吹奏楽でユーホニウムを吹いてたんで、夏休みはベランダから田んぼに向かって課題曲を吹いていました。
・・・今思うとはた迷惑な話だけど、それに対してだれも苦情を言ってこなかったのは、それはそれですごいことだよなぁ・・・w

日々、田んぼの緑は変化します。
夏休みが終わって9月に入ると、緑は黄金色に変化します。
そうなると、近所のじいちゃんばあちゃんたちが活動的になって、刈り入れを開始します。
稲は刈られて干されて、実だけ採られて、畑には藁の束を積み上げた小さな山がいくつも出来ます。


さて、高校の頃、僕は猫を飼っていました。
小さい頃は猫の毛アレルギーで喘息になってしまって飼えなかったんですが、高校になったら大丈夫になったんで、野良猫を飼い始めました。
結構よくなついていて、テレビゲームをしていると膝の上に乗ってきて、可愛いものでした。
夏が過ぎて9月になって、猫が行方不明になりました。
いつもは家の周りをうろちょろしているのに、いつまで経ってももどってきません。
まぁ、しょうがないなぁと思って諦めたんですが、秋が過ぎて、藁の束の山が片づけられると、その中から飼っていた猫の死骸が出てきました。
藁の山の中に埋もれて出てこれなかったのでしょう、そのまま死んじゃったみたいです。

・・・まぁ、間抜けな猫ですけど、しょうがないことですよね。
かわいそうだけど、そういう猫だったんです。


頭を垂れる稲穂を見ていると、そうしたことが思い出されます。
僕の中にある過去の履歴が刺激されて、その履歴が現(いま・ここ)に展開されます。
展開されると、僕の現(いま・ここ)は変容され、決して客観的な時間・空間軸では捉えられないような現(いま・ここ)になります。
僕の現(いま・ここ)は多重化されたレイヤーで彩られ、時間・空間的な奥行きを持つこととなります。
僕の現在は静的な定点ではなく、13年前の出来事と昨日の台風と猫の夢と、そこから予兆されるたくさんの分岐で成り立っています。
猫の出来事は今でも生き生きとしているけど、その出来事にはもはや時間・空間的な実体はなく、架空です。

昨日の夜の台風は破壊的ではあるけれど、履歴に埋もれる架空の猫を現在に展開させてくれました。

ので。

少し感謝w


遙か心の遠方で、猫は穏やかに暴れていますw